ヴィンテージレポート
4月の芽吹きの頃には何度か霜が降り、開花と結実は雨と冷涼な天候のため厳しい環境でした。8月は曇りが続き湿度が高く、病害が心配されましたが、幸い9月と10月は暖かく乾燥していたため、無事収穫に至りました。収穫は例年よりかなり遅く、収量は減少しましたが、非常に長く涼しい生育期間だったため、結果的に特にピノは繊細でピュア、そしてエレガントで、これまでで最高の出来となりました。
テイスティングメモ
繊細な淡いペール色のロゼスパークリングワイン。チョーク質土壌で育てられたピノ・ノワールとピノ・ムニエのピュアな味わいと、クランベリーやピンク・グレープフルーツの心地よい香りをあわせ持っています。2021年は赤い果実がはじけるように広がる一方、マロラクティック発酵によるしなやかなタッチが特徴。澱とともに最低22 ヶ月間熟成、デゴルジュマン後、風味のバランスが落ち着くまで最低6 か月間セラーで熟成させてからリリースしています。余韻には超熟した果実味が感じられ、上品で複雑な深みのあるスパークリングワインです。
マリアージュ
ソーセージ、チーズ / 刺身、寿司、海苔巻 / スパイシーなラム / ブラータチーズ&トマト
井黒卓ソムリエ コメント
ワイルドローズ特有の山桜色のロゼ。冷涼な気候由来のストレートでビビットな酸味がソフトでクリーミーなムースと混ざり合い、綺麗に溶け込んでいる。黒ブドウ由来の厚みが味わいの中盤以降で膨らみ、シャルドネ由来の柑橘のゼストを思わせる爽やかな苦味が終盤で引き締める。飲めば飲むほど、緩急があり、万華鏡のように表情の違いを魅せる。
井黒 卓 Iguro Taku / 銀座ミシュラン3つ星レストラン『ロオジエ』ワイン・ディレクター。第9回全日本 ソムリエコンクール優勝。その他入賞多数。日本ソムリエ協会にて理事のポジションに就きながら講師も務める。